定年後に人と話す機会が減るのは、珍しいことではありません
定年を迎えてしばらくすると、「最近、人と話していないな」と感じることがあります。
仕事をしていた頃は、職場で誰かと顔を合わせ、仕事の話をし、休憩中にちょっとした雑談もありました。
ところが仕事を離れると、そうした何気ない会話が一気に減ります。
家では夫婦や家族と話すとしても、食事や買い物、予定の確認など、用事に関する話が中心になることもあります。
すると、「自分はこんなに人と話さなくなったのか」と、ふと寂しくなる日があります。
でも、ここで大事なのは、会話が減ったことを、すぐに人間関係の問題だと考えないことです。
仕事という大きな「人と会う場所」がなくなったのですから、話す機会が減るのは自然な変化でもあります。
私自身、長く人と接する仕事をしてきましたが、年齢を重ねると、「たくさん話すこと」そのものが大切なのではないと感じるようになりました。
むしろ、気を使わずに一言話せる人がいること。
困った時に声をかけられる場所があること。
そんな小さなつながりのほうが、人生後半では心地よいこともあります。
会話を増やす前に、「人と接する場」を少し増やしてみる
人と話す機会を増やそうと思った時、「誰かと会話しなければ」と考えると、少しハードルが上がります。
特に、もともと人付き合いが得意ではない人にとっては、知らない人の輪に入っていくこと自体が負担になるかもしれません。
そんな時は、会話を目的にしなくても構いません。
まずは人がいる場所に出ていくところから始めてもいいのです。
- 近所を散歩する
- 行きつけの店に立ち寄る
- 図書館へ行く
- 地域の集まりをのぞいてみる
- 興味のある講座に参加する
- 昔の友人に短い連絡をしてみる
そこですぐに親しい友人ができなくても問題ありません。
「こんにちは」と挨拶する。
店員さんと一言話す。
同じ場所にいる人と天気の話をする。
そのくらいの接点でも、人とのつながりは始まります。
人間関係というと、親しい友人を作ることを想像しがちですが、人生後半では「顔を知っている人」が増えることにも意味があります。
「話す相手」を探すより、「話す理由」を作る
人と話す機会が減った時、「話し相手を作らなければ」と考えることがあります。
けれど、会話は会話だけを目的にすると、意外と続きません。
それよりも、「何かを一緒にする」という理由があるほうが自然です。
たとえば、趣味の集まりなら、その趣味について話せます。
地域活動なら、活動そのものについて話せます。
散歩仲間なら、「今日は暑いですね」と言うところから始まります。
つまり、人と話すために何かをするのではなく、何かをする中で自然に会話が生まれるのです。
これは、人付き合いが少し苦手な人にも取り入れやすい考え方です。
「友達を作ろう」と力を入れるより、「ちょっと興味のある場所へ行ってみよう」と考えたほうが、気持ちも楽になります。
以前の記事でも、会話が苦手な場合は、無理に話し上手になるより聞くことから関係を作る方法について触れました。
会話が苦手なシニアに合う人とのつながり方|聞き役から始める関係づくりも、よかったら参考にしてください。
昔の友人との関係は、「久しぶり」の一言からでもいい
定年後になって、「昔の友人とまた話してみたい」と思うことがあります。
学生時代の友人、以前の職場の仲間、昔よく一緒に遊んでいた人。
けれど、何年も連絡していないと、「今さら連絡したら迷惑かな」と考えてしまいます。
ここでも、最初から昔のような関係に戻そうとしなくて大丈夫です。
「久しぶり。元気にしていますか」
それだけでも十分です。
すぐに長い会話にならなくても構いません。
返事が来たら少し話す。
来なければ、それ以上追いかけない。
人との関係には、それぞれの生活があります。
一度離れたからといって、すべてが終わったわけでもありません。
ただ、連絡を取る時には、相手の事情も自分の気持ちも大切にすること。
昔の友人に連絡しづらいシニアへ|再会前に整えたい一言のハードルでは、そんな「最初の一言」の考え方を取り上げています。
会話が少ない日があっても、自分を責めなくていい
人と話すことが健康や生活に良いと聞くと、「今日は誰とも話していない」と不安になることがあります。
でも、人にはそれぞれ、一人で過ごしたい日もあります。
本を読む。
音楽を聴く。
散歩をする。
何もせず、ぼんやりする。
そういう時間も、人生には必要です。
大切なのは、一人の時間と、人と関わる時間のどちらか一方を選ぶことではありません。
今日は一人で過ごした。
明日は誰かと少し話した。
そんなふうに、自分の生活の中で行ったり来たりしていいのだと思います。
むしろ、一人の時間を心地よく過ごせるからこそ、人と会った時に無理をしなくて済むこともあります。
「たくさん話す人」より「また会いたい人」を目指す
人とのつながりを考える時、話が上手な人や、いつも人の輪の中心にいる人を見ると、自分とは違うと感じることがあります。
でも、人生後半の人間関係に、そんな社交性が必要なのでしょうか。
私は、必ずしもそうではないと思っています。
話題が豊富でなくてもいい。
面白い話をしなくてもいい。
沈黙があっても気まずくない。
そんな相手との時間も、十分に価値があります。
会話の量よりも、「この人とは無理をしなくていい」と感じられることのほうが、長く続く関係には大切なのかもしれません。
そして、そうした関係は、最初から親しい友人として始まるとは限りません。
挨拶をする人。
時々話す人。
同じ場所で顔を合わせる人。
そこから少しずつ関係が変わっていくこともあります。
人とのつながりは、「増やす」より「残す」ことから考えてもいい
定年後に人と話す機会が減った時、「新しい友人を作らなければ」と焦る必要はありません。
まずは、今までの生活の中にある小さなつながりを見つけてみる。
近所の人との挨拶。
昔の友人への一通のメッセージ。
行きつけの店での短い会話。
地域の活動で交わす一言。
こうしたものも、人とのつながりです。
私自身、長く人と接してきて感じるのは、人生後半になるほど「たくさんの人と付き合うこと」より、無理なく続けられる関係をいくつか持つことが大切になるということです。
もちろん、人によって心地よい距離は違います。
毎日誰かと話したい人もいれば、週に一度くらいでちょうどいい人もいるでしょう。
一人の時間が長くても、それが本人にとって心地よければ、それも一つの暮らし方です。
反対に、「本当は誰かと話したいのに、きっかけがない」と感じているなら、ほんの少しだけ外との接点を作ってみる。
そのくらいから始めてもいいのだと思います。
今日、誰かと交わす一言から始めてみる
定年後に人と話す機会が減ったことは、人生後半の一つの変化です。
それを「人間関係がなくなった」と考える必要はありません。
仕事を離れたことで、これまでとは違うつながり方を選べる時期になった、と考えることもできます。
会話を無理に増やさなくてもいい。
新しい友人を急いで作らなくてもいい。
まずは挨拶をする。
興味のある場所へ出かけてみる。
昔の友人に一言送ってみる。
行きつけの場所を一つ作る。
そんな小さな行動の中から、自然な会話が生まれることがあります。
人生後半のつながりは、若い頃のように数を増やす必要はありません。
自分が無理をせず、誰かとつながっていられる形を見つければいい。
今日は誰とも長く話さなかったとしても、明日、誰かと「こんにちは」と交わすだけでいい。
そんな小さな一言が、これからの暮らしの中に新しい風を入れてくれることがあります。
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この記事を書いた人
70’spapa
43年間、整体の現場で多くの人生に寄り添う中で、 体だけではなく、心や暮らし、人とのつながりが人生を支えることを学んできました。
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