定年後に本を読む時間が増えたら|人生後半の読書を楽しむ工夫

時間ができたのに、本が読めないこともある

定年後、仕事に追われる毎日から少し離れ、自由に使える時間が増えた。

「これからは、ゆっくり本を読もう」

そう考える人は少なくないと思います。

現役時代には読みたくても時間がなかった本。若い頃に途中まで読んで、そのままになっていた本。あるいは、これまで興味を持つ機会がなかった分野。

時間ができれば、きっとたくさん読めるようになる。

ところが実際には、そう簡単ではないこともあります。

本を開いても、なかなか内容が頭に入らない。数ページ読んだところで集中力が切れる。買ったまま読んでいない本が、いつの間にか増えていく。

そして、「せっかく時間があるのに、自分はどうして本が読めないのだろう」と感じることもあります。

でも、人生後半の読書は、若い頃や仕事をしていた頃と同じである必要はありません。

たくさん読むことよりも、自分にとって心地よい読み方を見つけること。

それが、これからの読書を長く楽しむための一つの方法ではないでしょうか。

読書は「勉強」だけではない

仕事をしている間、私たちは多くの文章を読んできました。

新聞、業界誌、仕事の資料、メール、報告書。

そこには、何かを理解する目的や、必要な情報を得る目的がありました。

そのため、「読む」という行為に対して、知らず知らずのうちに、役に立つことを求める習慣が身についている人もいるかもしれません。

しかし、これからの読書は、必ずしも役に立たなくてもいいのだと思います。

小説を読んで、まったく違う人生を生きる人の気持ちを想像する。

旅の本を読んで、まだ行ったことのない場所を思い浮かべる。

昔好きだった作家の作品を、もう一度手に取る。

ある一冊の本から、昔の出来事や、すっかり忘れていた人の顔を思い出す。

そんな読書にも、十分な意味があります。

人生後半の読書は、「何を身につけるか」だけではなく、自分の世界を少し広げたり、これまでの人生を別の角度から見つめたりする時間にもなるのです。

最後まで読まなくてもいい

本を読むとき、「せっかく買ったのだから、最後まで読まなければ」と思うことがあります。

途中でやめると、何となくもったいない。

読み切れなかった自分に、少し負けたような気持ちになる。

私自身も、そんなふうに考えていた時期がありました。

しかし、すべての本が、今の自分に合うとは限りません。

若い頃には面白かった本が、今はあまり心に響かないこともあります。

反対に、昔は難しく感じた本が、年齢を重ねた今だからこそ面白く感じられることもあります。

読む人が変われば、本との関係も変わります。

だから、途中まで読んで「今の自分には合わないな」と感じたら、本棚に戻してもいいのです。

数年後に、もう一度開いたとき、以前とは違う言葉が心に残るかもしれません。

読書は、必ずしも一冊を最後まで読み切る競争ではありません。

自分と本との間に、そのときどきの出会いがあればいいのだと思います。

一度にたくさん読もうとしない

時間ができると、「今日はゆっくり読書をしよう」と考えることがあります。

それは素敵な時間ですが、長時間集中しようとして疲れてしまうこともあります。

特に、以前より集中力の変化を感じている場合は、若い頃と同じ読み方にこだわらなくてもいいでしょう。

朝、コーヒーを飲みながら10分読む。

昼食後に、数ページだけ読む。

寝る前に、少しだけ本を開く。

そのくらいでも、読書の時間は十分につくれます。

大切なのは、「今日は何ページ読んだか」ではなく、本を開くことが自然な習慣になっていくことなのかもしれません。

以前の記事では、新しいことを始めるのが億劫になったときの小さな一歩について考えました。

読書も同じです。

「毎日一時間読もう」と大きな目標を決めるより、「今日は少しだけ読んでみよう」という小さな一歩の方が、長く続くことがあります。

「読まなければならない本」から少し離れてみる

年齢を重ねると、「これからは教養を身につけなければ」と思うことがあるかもしれません。

歴史を学ぼう。

古典を読もう。

社会のことをもっと知らなければ。

もちろん、それも素晴らしいことです。

ただ、「読まなければならない本」ばかりになると、読書そのものが少し苦しくなることがあります。

ときには、まったく役に立たなそうな本を読んでもいい。

昔好きだった小説を読み返してもいい。

写真が多い本を眺めるだけでもいい。

自分の興味がどこへ向いているのかは、実際に本を手に取ってみなければわからないものです。

「今の自分は、何に興味があるのだろう」

そのことを知るために本を読む。

そんな読書の仕方もあると思います。

70’spapaとして、読書について思うこと

私は43年間、整体の現場で仕事を続けてきました。

仕事に関する本も読みましたし、健康や体について学ぶための本にも数多く触れてきました。

もちろん、それらの本は私の仕事を支えてくれました。

しかし、年齢を重ねるにつれて、本を読む意味は少しずつ変わってきたように感じています。

若い頃は、「何かを知りたい」「仕事に役立てたい」という目的が強かったように思います。

今は、それだけではありません。

ある言葉に立ち止まる。

自分とは違う人生を歩んできた人の考えに触れる。

昔なら気にも留めなかった文章が、なぜか心に残る。

そんなことが増えてきました。

長く生きてきたからこそ、一冊の本を読むと、自分自身の経験と重なり合う部分が生まれるのかもしれません。

本の中に書かれていることだけを読むのではなく、その言葉をきっかけに、自分自身の人生について考える。

人生後半の読書には、そんな楽しみもあるのではないでしょうか。

本をきっかけに、人との会話が生まれることもある

読書は、一人でするものです。

しかし、一冊の本が人とのつながりを生むこともあります。

「最近、何を読んでいるの?」

そんな何気ない会話から、お互いの興味を知ることがあります。

自分では選ばなかった本を、人から勧められることもあります。

読んだ本について、誰かと話す。

それだけで、一人で読んでいたときとは違った楽しみが生まれます。

新しい友人や人とのつながりも、特別な場所だけで生まれるものではありません。

共通する興味が、自然な会話のきっかけになることがあります。

読書も、その一つです。

人生後半の人とのつながりについては、新しい友人はどこで出会えるのかという記事でも考えています。

「本が好き」という小さな共通点が、新しい会話の入口になることもあるでしょう。

読む時間が増えたことを、急いで埋めなくていい

定年後は、これまでとは時間の流れ方が変わります。

仕事に使っていた時間がなくなり、その時間を何かで埋めなければならないような気持ちになることもあります。

読書も、その「空いた時間を埋めるためのもの」にしなくていいのだと思います。

本を読まない日があってもいい。

同じ本を何度も開いてもいい。

途中で眠くなったら、閉じてもいい。

読書の時間は、自分を成長させるためだけの時間ではありません。

少し立ち止まる時間。

知らない世界をのぞいてみる時間。

そして、ときには自分のこれまでを振り返る時間でもあります。

人生後半だからこそ、自分のために読む

人生の前半には、読まなければならないものがたくさんありました。

勉強のための本。

仕事のための資料。

資格を取るための参考書。

しかし、これからは少し違います。

誰かに評価されるためではなく、自分が読みたいから読む。

途中でやめてもいい。

役に立たなくてもいい。

一冊から何かを得なくてもいい。

ただ、その本を開いている時間が心地よければ、それだけで十分です。

「定年後、何を学ぼうか」と考えることがあります。

その答えを、最初から一つに決める必要はありません。

以前の記事、定年後に何を学ぶかを考える記事でも触れたように、これからの学びは、役に立つかどうかだけで決めるものではないでしょう。

一冊の本を手に取ることも、新しい世界への小さな入口です。

そして、その本から何を感じるかは、若い頃とは違うかもしれません。

人生後半の読書は、たくさん読むことではなく、今の自分に合った一冊と、ゆっくり出会っていくことなのかもしれません。

まとめ|読書は、自分の時間を取り戻すことでもある

定年後に時間が増えたからといって、急にたくさんの本を読まなければならないわけではありません。

集中力が続かない日があってもいい。

途中で読むのをやめてもいい。

小説を読んでも、漫画を読んでも、写真集を眺めてもいい。

人生後半の読書に、正しい形はありません。

大切なのは、「読書をしなければならないもの」にしないことではないでしょうか。

少し気になる本を手に取る。

数ページだけ読む。

面白ければ続きを読む。

合わなければ、別の本を探す。

そんな自由な読み方ができることも、人生後半の楽しみの一つです。

これから増えていく自分の時間を、何かで急いで埋める必要はありません。

ときには一冊の本を開き、その中にある知らない世界と、ゆっくり時間を過ごしてみる。

それもまた、これからの人生を少し豊かにしてくれる時間になるのではないでしょうか。


※この記事は一般的な暮らし方や学び方について紹介したものです。目の見え方や集中力、記憶力などに大きな変化や日常生活への支障を感じる場合は、自己判断せず医療機関などの専門家に相談してください。

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この記事を書いた人

70’spapa

43年間、整体の現場で多くの人生に寄り添う中で、 体だけではなく、心や暮らし、人とのつながりが人生を支えることを学んできました。

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