学び直しに「遅すぎる」はありません
「何か新しいことを始めたい」
人生後半になると、そんな気持ちがふと湧いてくることがあります。
昔から興味があったことを、もう一度勉強してみたい。
仕事を離れた今だからこそ、知らないことを学んでみたい。
あるいは、これまでとはまったく違う分野に触れてみたい。
そんな気持ちは、とても自然なものだと思います。
ところが、その一方で「今さら勉強しても遅いのではないか」と考えてしまう人もいます。
私自身、年齢を重ねてから改めて勉強したり、新しいものに触れたりする機会が増えました。
そのたびに感じるのは、学びというものは、若いころのように「将来のため」だけにするものではないということです。
人生後半の学びには、もっと自由な楽しみ方があります。
若いころの勉強と、人生後半の学びは違っていい
学生のころの勉強には、試験や進学という明確な目的がありました。
仕事をしている時期なら、資格や知識が仕事に役立つこともあります。
だから「勉強するなら、何か役に立つものでなければ」と考えてしまうかもしれません。
でも、人生後半では少し考え方を変えてもいいのではないでしょうか。
たとえば、昔から興味があった歴史を学ぶ。
料理をもう少し深く知ってみる。
スマートフォンやパソコンを使えるようになる。
写真、絵、音楽、語学などに挑戦する。
地域の講座に参加してみる。
こうしたことも立派な「学び直し」です。
資格を取らなくてもいい。
人に説明できるほど詳しくならなくてもいい。
「知るのが楽しい」と思えるだけでも、学ぶ理由になります。
学び直しは「何を学ぶか」より「なぜ学びたいか」
「定年後に何か勉強したいけれど、何がいいかわからない」という相談を受けたら、私は最初に「何を学ぶか」よりも、「なぜ学びたいのか」を考えてみることをおすすめします。
たとえば、次のような理由です。
- 昔から興味があったことを知りたい
- 新しい趣味を見つけたい
- 毎日の生活に張り合いがほしい
- 人と話すきっかけがほしい
- 外へ出る理由をつくりたい
- これまで知らなかった世界を見てみたい
どれも正解です。
「役に立つから」という理由だけでなく、「ちょっと面白そうだから」という理由でも十分だと思います。
むしろ人生後半では、自分の興味を出発点にしたほうが、無理なく続けやすいことがあります。
【参考:70歳を過ぎて新しいことが続かない時の学び選び|意欲より仕組み】「昔やりたかったこと」を掘り起こしてみる
学びたいものが見つからないときは、今の自分から探すのではなく、過去の自分に聞いてみるのも一つの方法です。
若いころ、本当はやってみたかったことはありませんでしたか。
忙しくて後回しにしたこと。
仕事や子育てがあって、時間を取れなかったこと。
「いつかやってみたい」と思いながら、そのままになっていること。
私は、こうした「昔の興味」の中に、人生後半の学びの種が隠れていることがあると思っています。
もちろん、昔と今では生活も体力も環境も違います。
だから、昔の夢をそのまま再現する必要はありません。
たとえば「海外を自由に旅してみたい」と思っていたなら、まずはその国の言葉や歴史を学んでみる。
「絵を描いてみたかった」なら、通信講座や地域の教室で一枚描いてみる。
「料理が好きだった」なら、知らなかった料理法を一つ覚えてみる。
大きな目標にしなくても、小さく始めることができます。
学びは「人とのつながり」にもなる
人生後半の学びには、もう一つ面白いところがあります。
それは、学ぶこと自体が人との会話を生み出してくれることです。
一人で本を読むのも学びですが、講座や教室に参加すれば、同じことに興味を持つ人と出会うことがあります。
「この前の講座、面白かったですね」
そんな一言から会話が始まることもあります。
友人を作ろうとして無理をするより、共通の興味を通して自然に話せるほうが気楽な場合もあります。
学びが、趣味になり、趣味が会話になり、会話が人とのつながりになる。
これは人生後半ならではの、学びの楽しさの一つではないでしょうか。
「続けなければ」と思わなくてもいい
新しいことを始めるとき、最初から「何年も続けよう」と考える必要はありません。
一度やってみて、合わなければやめてもいい。
しばらく休んでもいい。
別のものに興味が移ってもいい。
若いころは、始めたからには最後まで続けることが大切だと教えられてきました。
でも、人生後半の時間は、もう少し自由に使っていいと思います。
私も「これは面白い」と思って始めたことが、しばらくすると別のことに興味が移ることがあります。
それでも、そのときに知ったことや経験したことが無駄になるわけではありません。
学びは、資格や成果だけで測るものではないからです。
人生後半の学びは「小さく始める」のがちょうどいい
何か始めたいと思ったら、最初から大きな目標を立てなくても大丈夫です。
たとえば、次のような小さな一歩から始めてみます。
- 気になる本を一冊読む
- 興味のある動画を一本見る
- 地域の講座を調べてみる
- 図書館で関連する本を探してみる
- 昔興味があったことを一つ思い出す
- 詳しい人に話を聞いてみる
「勉強を始める」のではなく、「少し覗いてみる」くらいでもいいのです。
そこで「もっと知りたい」と思ったら、次の一歩へ進めばいい。
逆に「思っていたのと違う」と感じたら、それも大切な発見です。
【参考:70代から学び直しを始めたい人へ|セカンドライフを楽しむ始め方】学ぶことで、毎日の景色が少し変わる
学び直しという言葉から、机に向かって難しい本を読む姿を想像する人もいるかもしれません。
でも、学びはもっと身近なところにもあります。
散歩をしながら植物の名前を調べる。
料理をしながら食材について知る。
旅先で歴史を調べる。
スマートフォンの新しい機能を一つ覚える。
誰かに教えてもらったことを、家で試してみる。
こうした小さな「知りたい」が積み重なっていくことも、学びです。
昨日まで知らなかったことを一つ知るだけで、同じ景色が少し違って見えることがあります。
人生後半の学びには、そんな楽しさがあります。
学び直しを始める前に、自分に問いかけたいこと
何を学ぼうか迷ったら、次の質問を自分にしてみてください。
- 昔から気になっていたことは何だろう
- 最近、テレビや本を見ていて興味を持ったことは何だろう
- 人に教えてもらいたいことはあるだろう
- 誰かと一緒なら楽しそうなことは何だろう
- 一人でゆっくり取り組みたいことは何だろう
- 「役に立つか」ではなく「面白そう」と思えることは何だろう
この中に一つでも引っかかるものがあれば、それを入口にしてみてください。
立派な答えを出す必要はありません。
「今さら」ではなく「今だから」できる学びがある
若いころには、仕事や家庭、子育てなど、優先しなければならないことがたくさんありました。
自分の興味だけを追いかける時間を持てなかった人もいるでしょう。
人生後半になって、少し自分の時間が増えたからこそ、ようやく向き合えるものもあります。
だから私は、「今さら」と考えるより、「今だからできる」と考えてみてほしいと思います。
学んだことを仕事にしなくてもいい。
資格を取らなくてもいい。
誰かに認めてもらわなくてもいい。
自分が「知りたかった」と思うことを知る。
「やってみたかった」ことを少しやってみる。
それだけでも、これからの時間は少し豊かになります。
学び直しは、人生を広げる小さな入口
人生後半の学びは、何かを身につけるためだけのものではありません。
新しいことを知れば、新しい会話が生まれるかもしれません。
興味のある場所へ出かけるようになるかもしれません。
同じ趣味を持つ人と知り合うこともあるでしょう。
【参考:学びを始めると孤独が軽くなる理由|人生後半のつながりは勉強から生まれる】そして何より、「まだ知らないことがある」という感覚は、これからの時間を少し楽しみにしてくれます。
私自身、年齢を重ねるほど「知らないことは、まだまだあるな」と感じます。
それは不安というより、むしろ楽しみです。
人生後半だからこそ、誰かの評価ではなく、自分の好奇心を基準に学んでみる。
そんな学び方があってもいいのではないでしょうか。
もし今、「何か始めたいけれど、もう遅いかな」と思っているなら、まずは一つだけ気になっていることを調べてみてください。
本を一冊手に取るだけでもいい。
講座を検索するだけでもいい。
詳しい人に話を聞くだけでもいい。
その小さな一歩が、これからの暮らしに新しい楽しみを連れてきてくれるかもしれません。
学び直しに、遅すぎるということはありません。
大切なのは、何歳から始めるかよりも、「ちょっと知りたい」と思った気持ちを、そのままにしないことなのだと思います。
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この記事を書いた人
70’spapa
43年間、整体の現場で多くの人生に寄り添う中で、 体だけではなく、心や暮らし、人とのつながりが人生を支えることを学んできました。
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