「最近、体が思うように動かない」
「昔なら簡単にできたことが、少し大変になってきた」
「歩く、立つ、階段を上るといった動作に、以前より時間がかかる」
70代を過ぎると、こうした変化を感じることがあります。
それまで特に意識していなかった動作なのに、ある日ふと、
「こんなに動きにくかったかな」
と気づく。
そんな経験をする人も少なくありません。
こうした変化があると、「年齢だから仕方がない」と考えてしまいがちです。
もちろん、年齢とともに体の動きが変わっていくのは自然なことです。
ただ、だからといって、すべてを年齢のせいにする必要はありません。
大切なのは、若いころと同じように動こうとすることではなく、今の自分の体に合わせて、体の使い方を見直していくことです。
今回は、70代から感じやすい「体が思うように動かない」という変化について、毎日の生活の中で見直したいポイントを考えてみます。
「体が思うように動かない」と感じるのはなぜ?
体が動きにくくなったと感じると、まず「筋力が落ちたのかな」と考えるかもしれません。
もちろん、筋力の変化は体の動きに関係します。
しかし、体の動きは筋肉だけで決まるものではありません。
姿勢、関節の動き、バランス、重心の移動、そして普段の体の使い方。
こうしたものが組み合わさって、一つひとつの動作ができています。
例えば、
- 椅子から立ち上がる
- 歩き始める
- 階段を上る
- 靴下を履く
- 振り返る
- 方向を変える
こうした動作も、実は体全体を使っています。
そのため、筋肉だけを鍛えればすべて解決するとは限りません。
「動かない」のではなく、「動かし方が以前とは変わっている」
ということもあります。
だからこそ、まずは今の自分がどのように体を使っているのかを見直すことが大切です。
70代からは「昔と同じ動き」を目指さなくていい
若いころと比べると、
「歩くのが遅くなった」
「立ち上がるのに時間がかかる」
「階段が少し怖くなった」
など、さまざまな変化が出てくることがあります。
こうしたとき、
「昔はもっと動けたのに」
と考えてしまう人もいるでしょう。
しかし、今の体に昔と同じ動きを求める必要はありません。
むしろ大切なのは、今の体で無理なく動ける方法を見つけることです。
整体の現場でも、年齢を重ねた方の体を見ていると、「筋肉がないから動けない」という単純な話ではないことがあります。
姿勢が少し変わったり、体重のかけ方が変わったりするだけでも、動作が大きく変わることがあります。
以前と同じつもりで体を動かしていることが、かえって負担になっている場合もあります。
このあたりについては、こちらの記事でも詳しく書いています。
若いころと同じつもりで動いていませんか ─ 整体の現場から見えてきた、本当の衰え
「筋肉を鍛える」前に、体の使い方を見直す
体が動きにくくなると、
「もっと運動しなければ」
「筋肉をつけなければ」
と思うかもしれません。
もちろん、適度に体を動かすことは大切です。
ただし、いきなり負荷の大きな運動を始める必要はありません。
例えば、歩くときに姿勢が崩れていたり、体の重心が偏っていたりすると、同じ距離を歩くだけでも余計な力を使うことがあります。
逆に、体が無理なく動ける状態になれば、今までより楽に歩けることもあります。
だから私は、70代からの体づくりでは、
「鍛える」だけではなく「整えてから動く」
という視点も大切だと考えています。
姿勢が変わると、体の使い方も変わる
体の使い方を考えるとき、まず見直したいのが姿勢です。
ここでいう姿勢は、「背筋をピンと伸ばす」という意味ではありません。
無理に胸を張ったり、腰を反らせたりする必要もありません。
大切なのは、立ったときや歩いたときに、体が無理なく支えられているかどうかです。
例えば、
- 頭が前に出ている
- 背中が丸くなっている
- 体重が片側に偏っている
- 膝が常に曲がっている
- 歩くときに上半身が大きく揺れる
といった変化がないか、自分の普段の姿勢を一度観察してみるのもいいでしょう。
姿勢は毎日の動作の土台になります。
「最近、歩きにくい」「立ち上がりにくい」と感じている人は、運動だけでなく、まず普段の姿勢から見直してみるのも一つの方法です。
歩く力は「足」だけで決まらない
70代になると、歩くことそのものが少し億劫になってくる人もいます。
歩く速度が落ちたり、歩幅が小さくなったり、外出する距離が短くなったりすることもあります。
すると、さらに体を動かす機会が減ってしまいます。
ここで意識したいのが、「歩く力」を足だけの問題として考えないことです。
歩くためには、
- 姿勢を保つ
- 体重を移動する
- 股関節を動かす
- 膝を曲げ伸ばす
- 足首を動かす
- バランスを取る
といった複数の動きが必要です。
つまり、歩くことそのものが、全身を使った動作なのです。
だからこそ、歩く力を保つためには「足を鍛える」だけではなく、体全体を無理なく動かす習慣を続けることが大切です。
歩くことについては、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
日常生活の「ちょっとした動作」に注目する
体の変化は、激しい運動をしたときよりも、日常生活の中で気づくことがあります。
例えば、
「靴下を履くのが大変になった」
「床の物を拾うのが億劫になった」
「椅子から立ち上がるときに手をつくようになった」
「振り返るときに体全体を動かすようになった」
こうした小さな変化です。
一つだけなら、それほど気にしないかもしれません。
しかし、以前は自然にできていた動作が少しずつ変わっているのであれば、体の使い方を見直すきっかけになります。
特に、「できなくなった」ではなく、「少しやりにくくなった」段階で気づくことが大切です。
例えば、靴下を履くという動作にも、股関節や背中、腰、バランスなど、さまざまな体の動きが関係しています。
靴下を履くのがつらくなったら|70代が見直したい動きの余白と体のサイン
このように、普段の生活で「以前と違う」と感じる動作を、自分の体からの小さなサインとして見てみるのもいいでしょう。
今日からできる「体の使い方」の見直し
特別な運動を始めなくても、普段の生活の中でできることがあります。
1.立ち上がるときに急がない
椅子から立ち上がるとき、勢いをつけて立とうとせず、一度足の裏を床につけてからゆっくり立ってみます。
「立つ」という動作を意識するだけでも、自分の体重がどこにかかっているのか気づきやすくなります。
2.歩き始めを意識する
歩き始めるときに、いきなり体を前へ倒して歩き出すのではなく、一度姿勢を整えてから一歩目を出してみます。
毎日のことだからこそ、小さな意識が習慣になります。
3.方向転換を急がない
振り返るときや方向を変えるときは、体を急にひねらないようにします。
特に、立ち上がった直後や歩き始めは、少し余裕を持って動くことを心がけましょう。
4.「動かない時間」を減らす
長時間座りっぱなしになっているなら、時々立ち上がって体を動かしてみましょう。
大きな運動をする必要はありません。
部屋の中を少し歩く、立って飲み物を取りに行く、窓を開ける。
そんな小さな動きでも構いません。
「年齢だから」と決めつけないことも大切
70代になれば、若いころと同じように体が動かないのは当然です。
でも、
「年齢だから仕方がない」
と最初から諦めてしまうのも少し違います。
大切なのは、変化に気づくことです。
歩くのが遅くなった。
立ち上がるのが大変になった。
階段がつらくなった。
外に出ることが減った。
以前できていた動作が少しやりにくくなった。
こうした変化は、体を見直すきっかけになります。
そして、体の変化に気づいたら、無理に若いころの自分に戻そうとするのではなく、今の体に合った動き方を探していくことが大切です。
体の変化は「衰え」だけではなく、見直すチャンス
年齢を重ねると、できることが少しずつ変わってきます。
それを「衰え」とだけ考えると、不安になってしまいます。
でも見方を変えれば、
「今まで体のことをあまり考えずに動いてきたけれど、これからは少し丁寧に使ってみよう」
というタイミングでもあります。
若いころは、多少無理をしても体がついてきてくれました。
しかし70代からは、無理をするよりも、体の声を聞きながら使うことが大切になってきます。
歩く。
立つ。
座る。
階段を上る。
物を拾う。
振り返る。
こうした毎日の動作を少し丁寧に見てみる。
それだけでも、自分の体について気づくことがあるかもしれません。
「思うように動かない」と感じた今日が、見直しの始まり
「最近、体が思うように動かない」
そう感じると、少し寂しい気持ちになるかもしれません。
でも、その変化に気づけたこと自体が大切です。
何も気にせず無理を続けるより、
「少し動き方を変えてみよう」
「体をいたわってみよう」
と思えるからです。
70代から大切なのは、若いころと同じ体を取り戻すことではありません。
今の自分の体を知り、今の自分に合った使い方を身につけること。
その積み重ねが、これからの毎日の動きやすさにつながっていきます。
もし最近、
「歩くのが遅くなった」
「立ち上がるのが大変になった」
「階段がつらい」
「ちょっとした動作に時間がかかる」
と感じているなら、まずは一つだけ、自分の体の動きを観察してみてください。
今日の歩き方。
椅子からの立ち上がり方。
靴下を履くときの体の動き。
そこに、これからの体を整えるヒントが隠れているかもしれません。
体を変える前に、まず体の使い方を見直す。
それが、70代からの無理のない体づくりの第一歩なのだと思います。
関連記事
この記事を書いた人
70’spapa
43年間、整体の現場で多くの人生に寄り添う中で、 体だけではなく、心や暮らし、人とのつながりが人生を支えることを学んできました。
このサイトでは「健康」「学び」「出会い」「終活」を通して、 人生後半をもっと自由に楽しむヒントを発信しています。