教材を買った日が、一番やる気に満ちていることがあります
新しいノートを買う。きれいなペンを選ぶ。評判のよい教材を取り寄せる。
その時は、「今度こそ続けよう」と気持ちが前を向きます。
ところが、数日たつと机の上に教材が積まれたままになり、ノートの最初の数ページだけがきれいに埋まっている。そんな経験はないでしょうか。
これは意志が弱いからとは限りません。
学び直しが続かない時は、内容よりも「量」が合っていないことがあります。やる気がある日に決めた量を、ふだんの日の自分が背負いきれないのです。
私も年齢を重ねてから、新しいことを始める時ほど、最初に張り切りすぎないほうが続くと感じるようになりました。整体の現場でも、体を整える習慣は「毎日たっぷり」より「少しでも戻れる形」がある人のほうが、長く続きやすいように見えました。
学びも同じです。立派な計画より、戻ってこられる量を決めることが大切です。
人生後半の学びは、少ない量からでいい
若い頃の勉強は、試験や仕事に追われて「たくさん覚えること」が中心だったかもしれません。
けれど、これからの学び直しは少し違います。
知識を増やすだけでなく、日々の張り合いを作る。会話のきっかけを持つ。自分の好奇心をもう一度動かす。そうした意味もあります。
だから、最初から一日一時間、毎日三ページ、教材を一冊やり切る、という目標でなくても大丈夫です。
むしろ最初は、「少なすぎるかな」と思うくらいがちょうどよいことがあります。
- 一日5分だけ読む
- 一ページではなく、一段落だけ読む
- 単語を一つだけ覚える
- ノートは一行だけ書く
- 動画講座は最後まで見ず、最初の5分だけ見る
少ない量を続けると、自分の暮らしの中に学びの置き場所ができます。
学び直しは、量で自分を追い込むより、暮らしになじませることから始めたほうが続きやすいのです。
続く量を決める3つの目安
1. やる気のある日ではなく、普通の日を基準にする
教材を買った日は、気持ちが高まっています。
その日の勢いで「毎日30分やる」と決めると、疲れている日や用事の多い日に苦しくなります。
量を決める時は、普通の日の自分に聞いてみてください。
「少し疲れている日でも、これならできるだろうか」
この問いに「できそう」と思える量が、最初の目安です。
2. 終わったあとに少し物足りない量にする
学びは、毎回へとへとになるまでやらなくてかまいません。
「もう少しできそうだけど、今日はここまで」と終われる量のほうが、次に戻りやすくなります。
趣味や学びは、嫌になってしまう前に終えるのも一つの工夫です。満腹まで詰め込むより、少し余白を残したほうが、次の日の自分にやさしくなります。
3. 休んだ翌日に戻れる量にする
続けるというと、一日も休まないことだと思いがちです。
でも実際の暮らしには、体調、家族の用事、天気、気分の波があります。
大切なのは、休まないことより、休んだあとに戻れることです。
一週間休んでも戻れる量。旅行や通院のあとでも再開できる量。これを決めておくと、「もうだめだ」と思いにくくなります。
教材を買う前に決めておきたいこと
ノートや教材を買うこと自体は、悪いことではありません。
新しい道具は、気持ちを前向きにしてくれます。お気に入りのノートがあるだけで、机に向かいやすくなることもあります。
ただ、買う前に一つだけ決めておきたいことがあります。
それは、「この教材で最初にやる量」です。
- 最初の一週間は、一日一ページまで
- 動画講座は、まず一講座だけ見る
- ノートは、きれいにまとめず一行メモでよい
- 問題集は、丸つけまで含めて10分で止める
- わからないところは飛ばしてよい
買った瞬間に、すべてを使いこなそうとしないことです。
教材は、自分を責めるためのものではありません。暮らしに小さな学びを入れるための道具です。
もし迷うなら、買う前に図書館で似た本を見てみる、無料の講座を少し試す、手元の紙に一週間だけメモしてみる。そうした小さな試運転をしてから選んでも遅くありません。
ノートはきれいに書かなくても学びになります
学び直しが止まりやすい理由の一つに、「ノートをきれいに書かなければ」という思い込みがあります。
最初のページを丁寧に書きすぎて、次のページに進めなくなる。字が乱れると嫌になってしまう。色分けを考えているうちに、学ぶ時間より準備の時間が長くなる。
そんな時は、ノートの役割を少し軽くしてみましょう。
- 今日知ったことを一行だけ書く
- わからなかった言葉を一つだけ残す
- 面白いと思ったことに丸をつける
- 家族や友人に話したいことだけ書く
- 日付だけ入れて、空白があっても気にしない
学びのノートは、作品ではありません。
自分があとで戻るための足あとです。きれいでなくても、短くても、自分の言葉が一つ残っていれば十分です。
続けるための「量のメニュー」を作っておく
毎日同じ量を続けようとすると、できない日に気持ちが折れやすくなります。
そこで、学びの量を三段階に分けておくのがおすすめです。
- 元気な日の量:15分読む、問題を3問解く、動画を1本見る
- 普通の日の量:5分読む、1問だけ解く、ノートに一行書く
- 疲れた日の量:教材を開くだけ、見出しを見るだけ、昨日の一行を読むだけ
疲れた日の量を決めておくと、学びが完全に途切れにくくなります。
「教材を開いただけでよい」と決めておくのは、甘えではありません。次に戻るための橋を残す工夫です。
人生後半の学びは、勢いよりも回復力が大切です。休みながら、戻りながら、自分のペースで続けていけばよいのです。
今日の一歩は、教材を増やすことではなく量を減らすこと
学び直しを続けたい時、つい新しい教材を探したくなります。
でも、今すでに手元にノートや本があるなら、まずは量を減らしてみてください。
- 今日やるのは一ページではなく三行
- 一冊終えるのではなく、目次を眺めるだけ
- ノートを埋めるのではなく、一つだけ気づきを書く
- 毎日続けるのではなく、週に三回でよいことにする
少ない量でも、続くと自信になります。
自信が出ると、学びは少し楽しくなります。楽しくなると、誰かに話したくなります。そこから会話が生まれ、趣味や地域の講座へ広がることもあります。
ノートや教材を買って終わってしまう自分を、責めなくて大丈夫です。
必要なのは、もっと強い意志ではなく、今の暮らしに合う量を見つけることかもしれません。
まずは今日、手元の教材を開いて、一行だけ読んでみる。
それで終わっても、学びは始まっています。小さく整えた量が、これからの時間を少しずつ軽くしてくれます。
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この記事を書いた人
70’spapa
43年間、整体の現場で多くの人生に寄り添う中で、 体だけではなく、心や暮らし、人とのつながりが人生を支えることを学んできました。
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